フランスのデザインと日本のデザイン

2014年09月09日

シャルル・ドゴール空港



ご訪問ありがとうございます。
さて,デザインはデザインでも,社会のデザインについての話なので,ファッション関係の文章を期待していた人は直ちに移動をお願いします。
ご無沙汰いたしましたが,先週末に帰国しました。先週は楽しいやら忙しいやらまた,その反動で疲れたやら,眠たいやらで更新叶いませんでした。
帰りの道中ですが,ボルドーからエアフラでシャルル・ドゴール。その後はJALで羽田,鹿児島という経路で帰国いたしました。
フランス国内の移動は鉄路だろうが,空路だろうが快適です。
今回も,ボルドー空港で荷物を預け,セキュリティのための身体検査を済ませれば,シャルル・ドゴールでボーディング・パス=搭乗券をプリントアウトしてもらうだけでJALの飛行機に乗り込めます。重い荷物を持って広いシャルル・ドゴール空港で消耗するすることもなければ,再びチエック・インカウンターを探しまわったり,身体検査場で長い列を作ってイライラすることもありません。
これは,旅行者にとっても簡便であるだけではありません。預けた荷物を受け取ったり,身チエック・インや体検査のための施設・人員の倹約もできます。とても合理的なわけです。そもそも,無駄なセキュリティ・チエックや荷物の受け渡しをしないですむように,セキュリティ・チエックの方法,空港の設計があらかじめ考えられています。日本で暮らさざるを得ない私としては,うらやましい限りですが,日本とは違います。フランスでは,旅行者には無駄なストレス,空港・航空会社には無駄出資をさせないよに,航空システム全体でデザイン=構想されているわけです。
日本ではそうは行きません。羽田に着けば国際線ターミナルでまず預けた荷物を降ろし,税関の申告書を記入し(フランスではこうしたことはEUのパス・ポートを持っている人にも課されません),税関の形式的な質問を受け,再び身体検査を受け,シャトルバスで国内線ターミナルまで移動しなければなりません。これらをフランス並みに簡略化すれば,旅行者のストレスが減るばかりでなく,税関員やさまざまな施設を簡略化できますから,論理的には納める税金や空港使用料,航空運賃ももっと安くなるはずです。フランスの空港で航空会社の職員が日本よりも遥かに少ないのも,以上のような理由から説明できると思います。
膨大な人的,金銭的,物質的,精神的な無駄をまき散らしながら,誰もがあえいでいる。それが私が日本の社会に対して抱いている基本的なイメージです。ほんの少しだけ,頭を使えば,デザイン力を駆使すれば,今の日本社会の無駄はかなり減らせるはずです。
もちろん,無駄が減る分,雇用も減ります。困る人も出てきます。
日本とフランス,どちらがいいのか私には分かりません。
また空港の例は,社会の色々な所に見受けられます。たとえば喫茶店やレストランやお店です。日本ではサービスが良くて,フランスではサービスが悪いので,フランス人はサービス精神がないとか,フランス人は日本人をバカにしているとかという話になりがちです。そういう側面がないとは言いません(残念ながら)。
しかし,フランスの物品販売店や飲食店では日本のスタンダードからすると,店舗の規模,顧客の多さからすると,驚くほど従業員の数が少ないのが一般的です。だからどうしても,顧客一人当たりに書けられる時間が少なくなったり,顧客の注文に対応するのにかかる時間が長くなります。ですから,一般的な日本人旅行者からすれば,フランスのサービスのあり方には不満を感じないわけには行きませんし,統計の数字からすると,フランスの従業員一人当たりの生産性が日本人人業員よりも遥かに高いということになってしまうのです。
また観光という点だけに絞れば,サービスが悪くとも,顧客が呼べるだけのコンテンツがあるとも言えます。一方,日本にはそんなものは残念ながらほとんどないので,「おもてなし」という訳の分からんコンセプトで勝負するしかないのです。
どちらがいいのか?ただ,日本のお役所,企業は日本の物価が高い理由,その対価についてもう少しきちんと説明したほうがいいとは思います。

次回の記事は,フランス滞在中に観た映画,あるいは現在の出張先(実は日曜からまた出張に出ています,トホホ...)についての記事になるかと思います。



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